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- 就職四季報
中堅・中小企業版2016年版 -
東洋経済新報社(編)
単行本 1184ページ
発行日:2014/11/14 2,050円 -
就活が変わる!
優良中堅企業の見つけ方 -
三浦 紀夫(著)
単行本:224ページ
発行日:2012/1/13 1,08s0円
中小企業の就職
中小企業と言えば、大企業と比較して「ネームバリューがない」「不安定で待遇が悪い」というイメージがあります。実際に、入社時の給与や福利厚生などの面では、大企業よりも劣っている場合がほとんどでしょう。
一方で、成長性が高く、社員の育成に力を注いでいる中小企業も数多く存在します。また、自分自身の頑張り次第では、やりがいのある仕事を任せてもらうことができ、大企業よりも成長と昇格のスピードが速い等、中小企業ならではのメリットも少なくありません。
日本国内の企業の99%は中小・零細企業です。良い中小企業とめぐり会うことができれば、大企業に就職する以上に、これからの社会人人生を充実して過ごせる可能性が高まります。
ここでは、大企業にはない中小企業に就職する魅力と、いきいきと働くことのできる優良中小企業の探し方を紹介していきます。
中小企業に就職するメリット
中小企業に就職するメリットは、主に次の3点です。
- ニッチな分野で活躍している企業が多く、専門性や技術力が高い
- 様々な仕事を経験することができ、任せられる裁量が大きい
- 社長との距離が近く、会社の方針やビジョンが分かる
中小企業と聞くと、小さな町工場など、製造業をイメージする人が多いでしょう。しかし実際には、大企業の印象が強い金融業界やエネルギー産業をはじめ、あらゆる分野で多くの中小企業が活躍しています。
仕事が細分化される大企業とは異なり、様々な仕事が経験できる点は、仕事のやりがいにも直結する、中小企業就職の大きなメリットです。
特にITや医療といった成長分野では、自分の働き次第で会社を大きくすることができ、中小企業に就職する醍醐味を味わえるチャンスも多いでしょう。
また、中小企業では「仕事のできる人」と認められれば昇格しやすい傾向もあります。実際に、大企業よりも中小企業の方が女性管理職の比率が高く、性別や学歴に関係なく頑張りが認められやすい環境と言えます。
中小企業の探し方
中小企業の新卒求人を探すのに、特別な方法をとる必要はありません。リクナビやマイナビといった大手の就職ナビサイトに掲載される求人であっても、その内の7割以上が従業員1,000人未満の中堅・中小・零細企業です。さらにハローワークで新卒の応募が可能な求人を検索すれば、膨大な数の中小企業がヒットするでしょう。
では、多くの求人の中から、成長性があり労働環境も良い「優良」中小企業を見つけるには、どのようなポイントをチェックすればよいのでしょうか。
中小企業の新卒求人を探す方法
膨大な中小企業の求人の中から志望企業を探すには、「新卒求人の中から志望企業を探す」か「魅力的な企業の中から新卒求人を探す」かの二通りの方法があります。
新卒求人の中から志望企業を探す
膨大な中小企業の求人の中から志望企業を探すには、「新卒求人の中から志望企業を探す」か「魅力的な企業の中から新卒求人を探す」かの二通りの方法があります。
就職ナビサイトで検索に「こだわり条件」を設定する
就活ナビサイトは、中小企業の就職においても、強力な就活サポートツールとなります。
中小企業を検討する場合は、「若手に活躍の場を設けているか」、「業界内部でのその企業のポジションはどのあたりなのか」等もチェックしたいポイント。就活ナビサイトの、「業界」「職種」「勤務地」といった基本の検索条件に加えて、「若手が活躍する企業」や「シェアNo.1」といった、自分が企業に求めるこだわり条件にも注目し、企業を絞り込んでみましょう。
就職四季報で志望業界の会社情報を調べる
東洋経済新報社から刊行されている「就職四季報」には、3年後離職率や過去5年間の業績など、志望企業を選ぶうえで有用な情報が数多く掲載されています。掲載企業数こそ少ないものの、志望業界の各企業を比較しながら、効率的に志望先を探すことができます。
この他に、大学に寄せられる求人情報や、転職者向けの求人サイトで「新卒・第二新卒歓迎」の条件を調べることでも有力な求人を見つけることができます。
特に大学に寄せられる求人は、企業側にあらかじめ「ここの学生を採用したい」という希望があるため、選考面においても有利なかたちで就活を進められる可能性が高いでしょう。
魅力的な企業の中から新卒求人を探す
まず自分が働きたいと思う企業を見つけ、その企業が新卒採用を行っているかどうかを調べるのも、中小企業の就職においては有効な方法です。中小企業の中には就職ナビサイトや新卒応援ハローワークに求人情報を掲載していない企業も多く、求人情報からのアプローチだけでは、すべての中小企業を網羅することが難しいためです。
中小企業経営革新支援事業に採択された企業を調べる
「中小企業経営革新支援」とは、中小企業が新しくスタートする事業のうち、その企業の経営向上が図られる分野において、行政が補助金や低利融資等のサポートを行う支援制度です。
経営革新支援事業に採択されている企業は、事前にしっかりとした事業計画を立て、行政の審査もパスしているため、事業に関する展望や収益システムについての信頼性が高いと言えます。
知り合いの社会人がおすすめする中小企業を調べる
大学のOB・OGなど、知り合いの社会人におすすめの中小企業を聞く場合は、会社の対応力や社員がいきいきと働いているかなど、他と探し方とは異なる視点から「魅力な中小企業」を見つけることができます。
魅力的な中小企業が見つかったら、その企業の新卒採用の有無を調べてみましょう。
企業から新卒求人を探す場合は、優良企業を見つけやすいというメリットがある半面、必ずしも採用があるとは限らず「空振りする可能性が高い」というデメリットもあります。
ただし、大企業のように新卒採用の時期や採用フローが定まっていない中小企業も多いため、心から働きたいと思える企業であれば、新卒応募をしていなくても直接問い合わせてみるなど、積極的にアプローチをしていくことが欠かせません。
「優良」中小企業のチェックポイント
魅力的な中小企業に就職するためには、ピックアップした企業の中から、さらに「優良中小企業かどうか」をチェックする必要があります。中小企業の「優良度」を測るには、主に以下のような方法があります。
過去の売上高や純利益を調べる
過去の売上高や純利益の推移からは、その企業が「成長しているのか」「後退しているのか」を見ることができます。過去3年間か、可能であれば過去5年〜10年間の業績を比較してみましょう。
ほとんどの中小企業は公に決算書を開示していませんが、売上高と純利益については、多くの場合「帝国データバンク会社年鑑」から情報を入手することができます。
もしも、過去の業績の中で赤字から回復しているような記録があれば、なぜ赤字になったか、黒字にするためにどのような対策を行ったのかに注目してみてください。その理由が調べても分からないようでれば、説明会や面接の場で質問してみても良いでしょう。
※「帝国データバンク会社年鑑」は図書館にて閲覧することができます。
会社沿革から会社の歴史を調べる
HPに掲載されている会社沿革からも、その企業がどのように成長してきたかを垣間見ることができます。創業25年を超える企業であれば、拠点数の増減の記録から、バブル経済の中どのように成長し、その後をどのように乗り越えてきたかといった歴史を見ることができます。ITバブルやリーマンショック、震災など、その業種に大きく影響した社会動向は何なのか等を、同業他社の歴史と比較するのも有効な方法です。
社長は魅力的か、会社のビジョンに共感できるか
社長の人柄は中小企業の就職では外せないチェックポイントの一つです。
特に社長自身が筆頭株主であるオーナー経営の会社では、最終的な判断をすべて社長が行うため、社長の人柄に好感が持てるかどうかが、その会社での働きやすさに大きく影響します。
なお、大学のOB・OGやインターネット上の企業クチコミサイト等から得られる社会人の「生の声」も、中小企業を知る有力な手がかりです。特に社風や部署内の雰囲気、企業面接で聞きにくい給与体系や各種制度など、中小企業の就職では特に気になる情報を集めるのに有効な方法です。
中小企業に就職することの最大の魅力は、大企業では経験することのできない仕事のやりがいです。だからこそ、心から「この企業で活躍したい」と思える会社を見つけることが、中小企業への就職を成功させる上で、最も重要なポイントと言えるでしょう。
注目の優良中小企業
ぼくらの就活面接編集部が注目する、優良中小企業をピックアップ。第1回はIT企業「株式会社QES」の新卒採用を紹介。中小企業への就職を考えている学生は要チェックです。
優良中小企業ファイル2:株式会社テクノスジャパン
… 日本の先進技術を提供する福祉機器メーカー
ブラック企業の見分け方
中小企業への就職を考えている人の中には、「ブラック企業」の存在に不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
まず、志望先が決まった段階で、一度大学の就職課に企業の情報を問い合わせてみましょう。悪質なブラック企業の情報は各大学のキャリアセンターで共有されているため、問題のある企業はこの段階で回避することができます。また、大手の就職ナビサイトでは求人の掲載前に会社の審査を行うため、ブラック企業が入り込みづらいシステムになっています。
このように、大学の求人や就職ナビサイトを中心に活動するだけでも、ブラック企業に出会う確率を下げることができるでしょう。
また、自分にとっての「ブラック企業」の基準を設けることも大切です。やりがいを感じ熱心に仕事に取り組むことや、成長の速さ・昇給速度などは、長時間労働やサービス残業、人手不足と表裏一体な面も少なからずあります。
入社後のミスマッチに不安を感じる人は、会社選びの前に、「自分が就職先に何を求めるのか」を明確にしておきましょう。就職を希望する中小企業にマイナス条件があった場合は、「仕事のやりがい」や「就労時間」「キャリアの蓄積」など、自分の重視する条件と比較してバランスが取れているかどうかを考えてみましょう。